MRM吃音(どもり)改善プログラムでは紙とペンを使ってトレーニングを行ないますが、この目的を一言で言うとマインドフレームの書き換えです。なぜなら、歪んだマインドフレーム、誤ったマインドフレームが吃音を引き起こすので、それを正しいものに矯正することによって吃音が改善していくわけです。
ただ、マインドフレームって聞きなれないかもしれません。今回は、マインドフレームとは何か、正しいマインドフレームに書き換えて吃音を治すには何が必要なのかを説明していきます。
そもそも、マインドフレームとは何か??
マインドフレームの「マインド」は心・精神と訳されますし、考え方とか心構えというとわかりやすいかもしれません。「フレーム」は枠ですね。フォトフレームなどの額縁を思い描いていただくとイメージしやすいと思います。
マインドフレームとは、物事に対する見方、考え方、捉え方のことです。一枚の写真でも、形や色の違うフレームを当ててみると写真の印象が随分変わることを経験されたことがあるのではないでしょうか。
それと同様に、全く同じ出来事・状況であっても見方や考え方によって「嬉しい」「辛い」「何ともない」と感じ方が変わってくるものです。
例えば「風邪をひく」ということも、明日重要な仕事がある人にとっては非常に大きなピンチになりますが、明日はどうしても学校を休みたい子どもからしてみたら、この上ないチャンスだったりします。
状況が変わらずとも、自分の持つマインドフレームが変われば、物事はぐんと受け止めやすくなるし、生きるのも楽になるというわけです。
吃音者と非吃音者の決定的なマインドフレームの違いとは?
マインドフレームについて理解を深めたところで、吃音との関係を考えていきましょう。
大前提として、ぜひ覚えておいていただきたい点なのですが、吃音者ではなくても、どもったり言葉の乱れが生じることはあります。これは誰しも同意されることだと思います。
では、吃音者と非吃音者はどこで分けられるのでしょうか?「どもらない人」が非吃音者だというのであれば、人間みなが吃音者ですね。
吃音者と、非吃音者と、どこが違うのか?少し時間を取って考えてみてください。
・どもる頻度、回数
・どもりの程度
・どもって笑われたことがある
・「あなたは吃音者です」と医者に認定された
これらが原因でしょうか?いいえ、いずれも誤りです。
吃音者と非吃音者を分けるものは、当人のマインドフレームです。どもってしまったときに、『自分はいつも肝心なところでどもってしまう』『吃音なんて悪だ、恥ずかしい』と思うか、「あ、ちょっと噛んでしまったな~」で済むか、その違いです。
物事や現象は同じでも、それに対する感じ方・受け止め方というマインドフレームこそが、両者を分けるものになります。
非吃音者にとってはペラペラ喋れることもあれば、かなりつっかかってしまうこともあり、それらをひっくるめて「会話」です。言葉に詰まっても、どもっても、『次に話すのが怖い』『音読なんてできない』『電話が恐怖だ』とは思わないんです。
吃音者はそうではありません。どもった・言葉が乱れた、ということがきっかけとなって、恥ずかしい・辛い・怖いというマインドフレームが発生して、より吃音を強化するメカニズムが作動します。
このマインドフレームの違いが、吃音者と非吃音者を分けるものになります。
「でも、考え方を変えたくらいでは吃音は治りませんよ?」と思われるかもしれませんね。確かにそうなんです。
「吃音を気にしないようにしよう、誰だってどもることくらいあるんだ」と言い聞かせたからって、吃音が改善するわけではありません。そんな簡単なものだったら苦労はしないよ、と思いますよね。
マインドフレームは心の深い奥底の潜在意識にあるものなので、表面的な気持ちの切り替え程度で何とかなるというものではありません。
MRMは潜在意識を書き換えるためのトレーニングを行う改善法
ここまでの話で、吃音の原因はマインドフレームにあるということがお判りいただけたと思います。しかし、考え方や意識を変えようと自分で頑張っても潜在意識に深く刻み込まれているマインドフレームを変えることはできません。
MRM吃音(どもり)改善プログラムで行なうトレーニングは、この潜在意識に働きかけるエクササイズで、マインドフレームを根底から書き換えるための系統だったプログラムが組まれています。
吃音者のマインドフレームが、非吃音者のマインドフレームに書き換わるというわけです。
非吃音者のマインドフレームとは先ほど書いたとおりです。
非吃音者にとってはペラペラ喋れることもあれば、かなりつっかかってしまうこともあり、それらをひっくるめて「会話」です。
言葉に詰まっても、どもっても、『次に話すのが怖い』『音読なんてできない』『電話が恐怖だ』とは思わないんです。
こういう考え方、受け止め方ができるようになります。話すことへの恐怖がなくなりますから、リラックスして話せて、必然的にどもることも減っていきます。
全くどもらなくなるわけではない
非吃音者でも時折どもったり言葉が乱れたりすることはあります。ですから、MRM吃音(どもり)改善プログラムの目指すところは「全くどもりもせず流暢に喋れる人」というところにはありません。
それはアナウンサーとか噺家さんなどまた別の訓練が必要でしょう。目的が異なりますね。
シンプルに言うと、MRM吃音(どもり)改善プログラムが目指すのは
多少どもったとしても、自分の心にも日常生活にも影響しないマインドフレームを手に入れる
ということです。
潜在意識、マインドフレームの書き換えは自分で意識的に出来ることではありません。とはいえ、MRMで行なうトレーニングは非常に単純で、誰にでもできるものです。1日20分程度ですから、まずは手軽にスタートしてみることをオススメします。